「こういう風にオタクを表現するのいい加減やめてほしいよね」と言われた話。
知り合いの知り合いレベルの、俗にいう「オタク(ヲタ)」や「腐女子」と呼ばれる方と友人を挟んで飲みに行く機会があった。
正直紹介された瞬間から「あ、オタクっぽい」と心の中で思ったんだけど、まぁそんなことは思っていても口に出さないのが大人の常識なのである。どこが?と言われても困るんだけど彼女の喋り方や所作、しぐさや声など雰囲気も含めてそれっぽい感じがしたのよね。
2時間ほど一緒に飲み続けて、お互いにちょっと打ち解けた感じの時に、ふいに彼女が「私、実はこう見えてもヲタなんですよぉ~ひゃはっは!」と言いだした。友人は間髪入れずに「見りゃわかるってwww」とツッコんだ。
「そぉ~んなぁことなぁ~いもぉ~ん!」と胸の前で拳を上下に軽く振りながら頬をぷくっと膨らませる彼女。そのままくるりと私のほうを見て「365さん!そんなことないですよぉねぇっ!?」と首を右に傾ける。
(あぁ…やっぱそうくる?きちゃう?(´・ω・`))
(↑個人的にすごく気になるのはメガネの鞘がないこと。眉間の力だけでメガネは支えられているのだろうかと想像するとふふってなっちゃう)
ほぼ彼女の独演会状態で好きな声優さん、それにまつわる作品、推しメン、それらの萌えポイントなどを力説している。私も彼女とはジャンルが違うし自負するほど詳しくはないがオタクな一面を持っている。だから好きな物について熱く語る、語りたい気持ちはよく分かる。それに個人的に嫌いな人や出来事やら不満なんかをとめどなく語る人より、自分の好きなものについて語る人のほうが好きだ。
ふいに彼女は眉間にしわを寄せ「でもさー。みんなが思ってるオタクってネルシャツ着てて紙袋持っててとか一昔前のオタなんだよねー。今のオタは全然違う!電車男とかのイメージ強すぎだし、オタクをああいう風に表現するのいい加減やめてほしいよね!」と不満を爆発させた。
私はそれにちょっと共感した。
長身故に今まで初対面の人に何度も何度も「バレーやってた?」「バスケやってた?」「スポーツは何してた?(やってた前提)」と聞かれ続けてきた。後、ある女優さんに少し似ているようで「あ!〇〇さんに似てますよね!」「名前が出てこないけど女優さんに似てるって言われません?」と幾度となく言われてきた。
しかし残念なことに私は運動音痴だし、似てるといわれる女優さんを何度見ても自分が似てるとあまり思わない。自覚がない。そしてこういうイメージで話を進められる事が続くと気持ち的にしんどくなる。
それらを踏まえて「こういうのはオタクだ」「オタクはこうだ」と決めつけられるのもストレスになるよなと感じた。
だけど人ってイメージで話をする生き物なんだよなー。私自身そうだもん。
色や形、容姿ってある意味記号なんだよね。アニメや漫画、イラストなんかでもそういうイメージを利用してキャラクターをわかりやすくしてるんじゃないかな。
「私、神経質、几帳面っぽいクールなエリートキャラ好きです」と伝えたら、彼女はペンを取り出しコースターの裏にさらさらっと慣れた手つきで「きちっと髪を整えて銀縁眼鏡をかけた細身のスーツ姿の男性」を描き上げた。
…そういうことなんだよ。仕方ないんだよね。